. お薬に関する情報|高の原中央病院
     
高の原中央病院 薬剤科では毎月1回『DI(Drug Information)ニュース』を発行し、
お薬に関する情報を提供しております。ぜひご利用くださいますようご案内申しあげます。

2010年06月 『子宮収縮剤について』

少し前のことになりますが、子宮収縮剤を用いた事件が世間を騒がせていました。そこで今回は子宮収縮剤についてまとめてみました。
子宮収縮剤はおおまかに下表1)のように2つに分類できます。



プロスタグランジン製剤は、子宮に対して律動的な収縮作用を示し、妊娠末期の分娩促進や、妊娠中期の治療的流産に用いられます。それに対し、麦角アルカロイド製剤は主として分娩後の子宮収縮の促進ならびに子宮出血の予防及び治療目的で使用されます。持続的な収縮作用を示すため分娩促進の目的では用いられません。
一方、上記系統薬剤以外で副作用として子宮収縮作用や流産が報告されているので妊産婦への使用の際に注意すべき薬剤を紹介します。下表2)のカフェルゴット以外は当院ですべて採用されています。



子宮が収縮する副作用は精神安定剤・下剤・偏頭痛薬に多くみられるのでご注意ください

【参考資料】
 図1)浦部晶夫,2010,「今日の治療薬」
 図2)山下晋,「妊婦・授乳婦への薬物投与時の注意」 一部改定

ご質問・お問合せは、当院 薬剤科医薬情報管理室までお寄せください

2010年04月 『高の原中央病院採用の注射用抗菌薬 溶解液一覧』

当院で取り扱っている注射用抗菌薬の溶解液の適・不適について一覧表にまとめましたので、是非参考にして下さい。






【参考資料】抗菌薬の使い方(第一三共)、各薬品の添付文書

ご質問・お問合せは、当院 薬剤科医薬情報管理室までお寄せください

2010年03月 『スタチンがひきおこすインスリン抵抗性をCa拮抗薬が抑制する』

脂質異常症治療薬スタチンの一部にインスリン抵抗性を惹起する作用があり、Ca拮抗薬の併用により、この作用を回避できる可能性が示唆された。昨年の日本循環器学会・学術集会のFeatured Researchセッションで、韓国・ガチョン大学ジル病院血管内科のKwang-Kon Koh氏が報告した。

【Koh氏らのこれまでの研究報告】

①シンバスタチンなどの脂溶性スタチンが、インスリン感受性改善作用をもつアディポネクチンの血中濃度とインスリン感受性指数QUICKI*を低下させる
②水溶性のプラバスタチンを投与すると、血中アディポネクチン濃度とインスリン感受性が上昇する

今回Koh氏らは、スタチン投与下の高血圧患者に使用すべき降圧薬を明らかにする目的で、次のような臨床研究を行った。

【試 験】

対象は軽症・中等症の高血圧患者42例。「スタチンがひきおこすインスリン抵抗性をCa拮抗薬が抑制するか否か」についての試験薬として、脂溶性スタチンのアトルバスタチン(20mg/日)、Ca拮抗薬アムロジピン(10mg/日)を用い、アトルバスタチン単独、アムロジピン単独、アトルバスタチン・アムロジピン併用による治療をそれぞれ2カ月間、交差法により実施した。ひとつの治療と次の治療の間には2カ月間のウォッシュアウト期間を設けた。なお、降圧薬としてアムロジピンを用いたのは、インスリン抵抗性改善作用が報告されているためである。

【結 果】
血圧の変化 糖代謝指標の変化
血中インスリン濃度 血中アディポネクチン濃度
とインスリン感受性
アムロジピン単独
アトルバスタチン単独 変化なし
アムロジピンと
アトルバスタチンの併用

【考 察】

Koh氏は以上の成績に基づき、高血圧患者にスタチンを使用する場合、脂溶性か水溶性かを考慮する必要があるとした。さらに、特に糖代謝異常が認められる患者に脂溶性スタチンを投与する際は、インスリン感受性改善作用をもつ薬剤を併用すべきであり、降圧効果を含めて考えると、アムロジピンのような代謝改善作用をもつCa拮抗薬の併用が望ましいとの見解を示した。

*QUICKI=1/[log(空腹時血中インスリン濃度)+log(空腹時血糖)]

【参考資料】日経メディカルオンライン学会ダイジェストより

ご質問・お問合せは、当院 薬剤科医薬情報管理室までお寄せください

ご質問・お問合せは、当院 薬剤科医薬情報管理室までお寄せください

2010年02月 『デュロテップMTパッチの効能・効果追加に伴う管理体制について』

デュロテップMTパッチが癌性疼痛以外にも使用可能になりました。それに伴い、新たな管理体制が設定されましたのでご確認ください。

【効能・効果】

変更前:中等度から高度の疼痛を伴う各種癌における鎮痛
変更後:非オピオイド鎮痛剤及び弱オピオイド鎮痛剤で治療困難な下記疾患における鎮痛
  ・中等度から高度の伴う各種癌における鎮痛
  ・中等度から高度の慢性疼痛における鎮痛 【追加!】

【管理体制の概要】(詳細は下図)
① 慢性疼痛に対して本剤を処方する医師は、慢性疼痛治療および本剤の流通管理に関するトレーニング(e-learning)を必ず受講する。
② 医師は、確認テスト終了後メーカーより送信される「デュロテップパッチ処方時の確認書」に必要事項を記入し、下半分(患者様保管用)を患者様へ交付する。
③ 患者様は、本剤の処方箋とともに確認書(患者様保管用)を薬局へ持参し、デュロテップパッチの調剤を受ける。

【注意事項】
確認書の有効期限は1年です。
患者様ごとに発行してください。
患者様が確認書の持参を忘れた場合、処方意図が慢性疼痛であるか判断できない場合、薬剤師から医師へ問い合わせが必要となることがあります。

慢性疼痛でデュロテップMTパッチを使用の場合、入院・外来を問わず調剤の際に薬剤師が確認書を確認します。
効能・効果が追加されたことに伴い、持参薬でデュロテップMTパッチを持ち込まれる場合が増えるかも知れません。
デュロテップMTパッチは麻薬です。患者様が持参された場合は薬剤科までご連絡下さい。

ご質問・お問合せは、当院 薬剤科医薬情報管理室までお寄せください

2010年01月 『輸液フィルターに注意を要する薬剤』

輸液フィルターに注意を要する代表的な薬剤について以下の表にまとめました。

輸液フィルターを通すべき薬剤
分類 薬品例(一般名)
抗悪性腫瘍剤 パクリタキセル注(パクリタキセル)
*0.22μm以下のメンブランフィルターを用いたインラインフィルターを通して投与すること
(点滴用セットの材質に注意すること)

輸液フィルターを通すことを考慮すべき薬剤
分類 薬品例(一般名)
配合変化を起こしやすい薬剤 ケイツーN(メナテトレノン)
メイロン(炭酸水素Na)
抗悪性腫瘍剤 凍結乾燥された製剤

輸液フィルターを通過しない薬剤
分類 薬品例(一般名)
血漿分画製剤 アルブミン製剤
グロブリン製剤
粘度の高い輸液製剤 グリセオール(濃グリセリン)
低分子デキストランL注(デキストラン40)
ヘスパンダー(ヒドロキシエチルデンプン70000)
油性製剤 サンディミュン(シクロスポリン)
ロカルトロール(カルシトリオール)
オキサロール(マキサカルシトール)
リポ化製剤 ロピオン(フルルビプロフェンアキセチル)
リプル、パルクス(アルプロスタジル)
脂肪乳剤 イントラリポス(ダイズ油)
プロポフォール(プロポフォール)
抗悪性腫瘍剤 ピシバニール(スプレプトコッカス・ピオゲネス)
インスリン製剤 ヒューマリンR

輸液フィルターに吸着される薬剤
分類 薬品例(一般名)
G-CSF ノイトロジン(レノグラスチム)
投与量の少ない抗癌剤 オンコビン(硫酸ビンクリスチン)
*投与量5μg/ml以下、投与総量5mg以下の薬剤では、フィルターへの吸着が問題となる

輸液フィルター自体を変性させる薬剤
分類 薬品例(一般名)
フィルターを溶解する可能性のある薬剤 ラステット(エトポシド)
*セルロース系のフィルターを溶解する可能性があるので、1mg/ml以上の高濃度でのセルロース系のフィルターの使用を避けること

輸液フィルターを目詰まりさせる可能性があるので注入前後にフラッシュを要する薬剤
分類 薬品例(一般名)
生理食塩液によるフラッシュ ラシックス(フロセミド)
ソルダクトン(カンレノ酸カリウム)
ソル・メドロール(コハク酸メチルプレドニゾロンNa)
アレビアチン(フェニトイン)
イソゾール(チアミラールNa)

通すべきフィルターの孔径等に制限のある薬剤
分類 薬品例(一般名)
脂肪乳剤 1.2μmのフィルター
メイロン エアーベント付きのフィルター
G-CSF製剤 静電気吸着を起こさないフィルター
ラステット(1mg/ml以上の濃度の場合) セルロース系以外のフィルター

フィルターへの吸着に関する報告がある薬剤
ミリスロール注(ニトログリセリン)
ニトロール注(硝酸イソソルビド)
ホリゾン注(ジアゼパム)
ドルミカム注(ミダゾラム)
コントミン筋注(塩酸クロルプロマジン)
ヒベルナ注(塩酸プロメタジン)
ヘルベッサー注(塩酸ジルチアゼム)
ペルジピン注(塩酸ニカルジピン)
【引用文献】
 注射薬配合変化Q&A じほう(H18.6.20発行)
 注射薬Q&A 注射・輸液の安全使用と事故防止対策 じほう(H16.3発行)
 注射剤配合変化データ検索2009
 要注意医薬品の安全使用手引き


ご質問・お問合せは、当院 薬剤科医薬情報管理室までお寄せください

2009年12月 『抗血小板薬, 抗凝固薬の休薬は, 本当に必要か』

本は、世界有数の長寿国であるが高齢化の進行に伴い、脳梗塞や心筋梗塞に代表される血栓性の疾患が増加しており、それに伴い、抗血小板薬や抗凝固剤を継続的に服用される患者さまも増えています。現在、抗凝固剤であるワルファリンを内服する人は100万人、抗血小板薬アスピリンは約300万人に上るとも言われており、こうした患者さまにおいては、手術や抜歯などの観血的処置を行う際の休薬の可否または再開のタイミングが大きな問題となります。2008.10月号で抜歯に関してお伝えしましたが、今回、脳卒中治療ガイドライン2009において抗血小板薬と抗凝固剤の施術や手術前の休薬に関していくつか変更点がありましたので、以下に表として示します。

手術手技 バイアスピリン
(アスピリン)
プラビックス
(クロピドグレル)
パナルジン
(チクロピジン)
プレタール
(シロスタゾ-ル)
ワーファリン
(ワルファリンK)
小手術
(抜歯など)
継続 継続 継続 継続 継続
内視鏡検査
(生検含む)
3日前* 5日前* 5日前 2日前 3~5日前
大手術
(開腹手術)
7日前 14日前 14日前 3日前 3~5日前
*パナルジンとバイアスピリン併用の場合は7日間休薬

た、白内障手術に関しては、技術革新で、切開創はとても小さく出血リスクは低く、抗血栓薬を中止する必要はありません。緑内障や硝子体手術は大手術に準じて、休薬が必要とされています。休薬によっておこる血栓塞栓症の頻度は高くはないのですが、発症例は重篤な場合が少なくありません。それぞれの領域や臓器で出血リスクが異なるため、一概に上記の表が全て正しいとは言えませんが、ひとつの目安にはなります

参考:脳卒中治療ガイドライン2009
   日本消化器内視鏡学会による
     『内視鏡治療時の抗凝固薬,抗血小板薬使用に関する指針』
   日本循環器学会ほかによる
     『循環器疾患における抗凝固薬,抗血小板薬療法に関するガイドライン』

ご質問・お問合せは、当院 薬剤科医薬情報管理室までお寄せください

2009年10月 『新型インフルエンザは「弱毒」ではありません』

型インフルエンザが「弱毒株」というのはウイルス学的に誤りです。「弱毒」や「強毒」というのは鳥インフルエンザに関してのウイルス学の用語です。鳥のインフルエンザの赤血球凝集素には、抗原亜型がH1からH16まであり、そのうち、H5とH7亜型の一部のウイルスで「強毒株」があります。しかし、ヒトのインフルエンザウイルスにはH1からH3までの3亜型が知られているだけで、ウイルス学的に「強毒株」とか「弱毒株」という区別はありません。わが国のマスメディアでは、臨床的に軽いという意味で「弱毒」と言う言葉を使っているようですが、その使い方自体が誤りであるだけでなく、重症度は以下に示すように少なくとも中等度であり、過去のアジアかぜや香港かぜと同じようなレベルの重症度であると考えなければなりません。

年8月以降、わが国でも各種の基礎疾患を有する感染例に死亡が見られ始め、若年層にも被害が出始めていますが、従来の季節性インフルエンザは高齢者を中心にして0.1%前後の致死率であるのに対し、今回の新型インフルエンザは本来健康な若年者を中心に発症し、WHOの発表では未だに1%近い致死率を示しています。メキシコや米国、最近では南米などでの被害が大きく、1%をはるかに超える致死率が報告されている国もあります。

回の新型インフルエンザによる死亡率には各国間で大きな差が見られます。わが国では患者数が増加しても致死率は極めて低いレベルにあります。ところが他の国々からは大きな数字が報告されています。被害の大きな国々では患者の多くが発症後1週間前後に初めて医療機関を受診しており、その前には治療を全く受けていないこと、重症例や死亡例の多くが発症後4~5日目に呼吸不全を呈していること、ウイルス性肺炎の重症化だけでなく細菌性肺炎の重症化も見られること、など診断と治療開始の遅れが見られます。一方、わが国では発症者の殆どが2~3日以内に受診しており、ほぼ全例で抗インフルエンザ薬による治療が行われています。


タミフルやリレンザ等の抗インフルエンザ薬で
早期から積極的に治療すべきです

2009年8月21日にWHOから新型インフルエンザの治療ガイドラインが発表されました。そこには、軽症の若年者や健常成人ではタミフルやリレンザの投与は必ずしも必要ではないと記載されています。先述の「弱毒」見解と相まってわが国でも「抗インフルエンザ薬の投与は必ずしも必要ではない」とする意見が散見されます。しかし、これは危険です。

回の新型インフルエンザによる海外の重症化例や死亡例の多くに基礎疾患のない若年者が多く含まれていますが、妊婦の例を含めて受診の遅れがあることに加え、肺炎合併の時点まではいずれも抗インフルエンザ薬の投与を受けておらず、これが重症化の最大要因と考えられます。一方、わが国の被害が少ないのは、患者の早期受診と早期治療開始によるものと考えられ、今後の蔓延期においても可能な限り全例に対する発病早期からの抗インフルエンザ薬による治療開始が最も重要であると言えます。また、タミフルに関しては、10歳代の患者の異常行動等に対する厚生労働省からの使用注意制限がまだ解除されていません。ただし、厚労省自身の見解として、副作用を説明し保護者が投与後最低2日間監視できるなら新型インフルエンザに対してタミフルを投与することは可能である、としています。わが国の最初の流行を経験した神戸においても10歳代の患者への投与が行われています。

た本年8月にWHOから発表された治療ガイドラインで最も重要な点は、タミフルの投与により、肺炎のリスクが有意に減少し、入院の必要性が減ると明確に述べられている事です。新型インフルエンザの大流行におけるノイラミニダーゼ阻害薬の役割は、季節性インフルエンザで周知のように発熱期間の短縮ではなく、重症化、入院、死亡を防止することにあり、治療の重要性は大きいのです。

(平成21年9月15日付 社団法人日本感染症学会提言より抜粋)
ご質問・お問合せは、当院 薬剤科医薬情報管理室までお寄せください

2009年09月 『ポリ塩化ビニル製医療機器への吸着について添付文書に記載がある注射剤』

以前DIニュースにて、医薬品とポリカーボネ―ト製医療器材との相互作用、またPVC製医療機器の可塑剤(DFHP)溶出についてとりあげました。今回下記について追加で紹介します。


ご質問・お問合せは、当院 薬剤科医薬情報管理室までお寄せください

2009年08月 『ワーファリンと抗生物質の相互作用』

ワーファリンと相互作用を引き起こす薬剤は多数ありますが、抗生物質もその1つです。

ワーファリンは、肝臓でビタミンK依存性凝固因子の第Ⅱ(プロトロンビン:PT)、Ⅶ、Ⅸ、Ⅹ因子の生合成を抑制することにより抗凝固作用、血栓形成予防作用を示します。多くの抗生物質には、ビタミンK(以下VK)を欠乏させる副作用があり、そのためにワーファリンの作用を増強させるケースが多いのですが、一部にはワーファリンの作用を減弱させる(機序不明)ものもあります。

以下にワーファリンと主な抗生物質との相互作用をまとめました。
抗生物質 相互作用の機序 作用の
増減
アミノグリコシド系 ①VK産生腸内細菌を抑制しVKを抑制 増強
②腸管からのVK吸収を阻害
クロラムフェニコール系 ①ワーファリンの代謝を阻害 増強
②肝臓でのPT合成を阻害
③VK産生腸内細菌を抑制しVKを抑制
④腸管からのVK吸収を阻害
セフェム系 ①VK産生腸内細菌を抑制しVKを抑制 増強
②肝細胞のVK依存性凝固因子の生成を阻害
③腸管からのVK吸収を阻害
テトラサイクリン系 ①VK産生腸内細菌を抑制しVKを抑制 増強
②肝細胞のVK依存性凝固因子の生成を阻害
③腸管からのVK吸収を阻害
④PTの活性作用の低下(PTの利用障害)
ペニシリン系 ①VK産生腸内細菌を抑制しVKを抑制 増強
②肝細胞のVK依存性凝固因子の生成を阻害
③腸管からのVK吸収を阻害
ただし、ジクロキサシリンのみ作用減弱(機序不明)
マクロライド系 ワーファリンの肝薬物代謝酵素(CYP3A)を阻害 増強
ただし、アジスロマイシン水和物・テリスロマイシンは機序不明
リンコマイシン系 機序不明 増強
ポリペプチド系 機序不明(塩酸バンコマイシン) 増強
ただし、テイコプラニンは作用減弱(機序不明)
ご質問・お問合せは、当院 薬剤科医薬情報管理室までお寄せください

2009年06月 『高血圧治療ガイドライン2009』

「日本高血圧治療ガイドライン2009」より抜粋しました。

【主要降圧薬の積極的な適応と禁忌】
  製品名 禁忌 慎重使用例
Ca拮抗薬 脳血管障害慢性期・左室肥大・頻脈
狭心症・高齢者
徐脈
(非DHP系)
心不全
ARB
ACE阻害薬
脳血管障害慢性期・左室肥大・心不全・心房細動(予防)・心筋梗塞後・蛋白尿・腎不全・糖尿病・メタボリックシンドローム・高齢者 妊娠
高K血症
腎動脈狭窄症
利尿薬 脳血管障害慢性期・心不全・腎不全・高齢者 痛風
低K血症
妊娠
耐糖能異常
β遮断薬 心不全・頻脈・狭心症・心筋梗塞後 喘息
高度徐脈
耐糖能異常
閉塞性肺疾患
末梢動脈疾患

【併用療法】

降圧目標を達成するためには、多くの場合2,3剤の併用が必要となる。そのさい、少量利尿剤を積極的に併用すべきである。

【脳血管障害を合併する高血圧の治療】
(超)急性期 ニカルジピン、ジルチアゼム、ニトログリセリンやニトロプルシドの微量点滴静注
慢性期 Ca拮抗薬、ACE阻害薬、ARB、利尿薬など
【心疾患を合併する高血圧の治療】
狭心症 ・冠攣宿 ・・・ 長時間作用型Ca拮抗薬
・器質的冠動脈狭窄 ・・・ β遮断薬、長時間作用型Ca拮抗薬
・降圧が不十分な場合 ・・・ ACE阻害薬、ARBの追加
心筋梗塞後 ・第一選択薬 ・・・ ACE阻害薬、ARB、β遮断薬
・降圧が不十分な場合 ・・・ 長時間作用型Ca拮抗薬、利尿薬の追加
・低心機能症例 ・・・ アルドステロン拮抗薬の追加
心不全 ・標準的治療 ・・・ ACE阻害薬、ARB+β遮断薬+利尿薬
・重症例 ・・・ アルドステロン拮抗薬の追加
・降圧が不十分な場合 ・・・ 長時間作用型Ca拮抗薬の追加
心肥大 ・第一選択薬 ・・・ ACE阻害薬、ARB、長時間作用型Ca拮抗薬
心房細動(予防) ・予防の観点から ・・・ ACE阻害薬、ARB
・慢性心房細動患者 ・・・ β遮断薬やシヒドロピリジン系Ca拮抗薬
【慢性腎臓病(CKD)を合併する高血圧の治療】

 ・ACE阻害薬、ARB
 ・降圧不十分ならCa拮抗薬・利尿薬の併用あり

【糖尿病を合併する高血圧の治療】

 ・ACE阻害薬、ARB
 ・降圧不十分ならCa拮抗薬・利尿薬の併用あり

ご質問・お問合せは、当院 薬剤科医薬情報管理室までお寄せください

2009年04月 『ヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体アクテムラ®』

【特徴】

国産で世界初のヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体製剤

【薬理作用】

IL-6レセプターには、細胞膜上に結合した状態のレセプター(膜結合性レセプター)と血清中に浮遊しているレセプター(可溶性レセプター)の2種類があります。通常、これらのレセプターは、血清中のIL-6と結合した後に、細胞膜上のgp130というタンパク質と結合して、IL-6とIL-6レセプターとgp130の3者が結合した状態でIL-6の生理作用を発現します。

アクテムラは膜結合性及び可溶性のIL-6レセプターと結合し、これらのレセプターとIL-6の結合を阻害することによって、IL-6の生理作用を阻害します。

【IL-6の生理作用】

サイトカインとは、様々な細胞から産生される細胞間の情報伝達物質の一種です。関節リウマチ患者さんの体内では種々のサイトカインの産生が増進しており、これらが関節リウマチの病態形成に深く関与していることが知られています。

IL-6は、関節リウマチの関節破壊の原因である破骨細胞の活性化、マトリックス分解酵素の産生増進、滑膜を増殖させるために必要な血管を作るサイトカインの産生増進などに作用します。また、CRPやフィブリノーゲンの産生とESR値の亢進、低アルブミン血症の発現、炎症性貧血の発現や発熱・倦怠感の出現などに深く関与していることが知られています。近年の研究では他のサイトカインと連携して総合的に関節リウマチの病態発現に関与していることも明らかとなっています。

【ヒト化抗体について】

人の体内の物質に対する単一の抗体のうち、遺伝子組み換えにより、抗原が結合する可変領域の中でも抗原認識に最も重要な相補性決定領域(CDR;Complementry Determining Region)のみをマウス由来にし、それ以外はヒトIgGからなる抗体をヒト化抗体と言います。全体の90%以上がヒト抗体の成分であり、免疫原性はキメラ抗体よりも少なくなっています。

なお、可変領域はマウス抗体のままとし、それ以外の定常領域を遺伝子組み換えによってヒトIgGの定常領域に置き換えたものをキメラ抗体と呼び、全体の60~90%がヒト抗体の成分です。そして、100%ヒト由来の抗体を完全ヒト型抗体と呼びます。しかし、完全ヒト型抗体であっても、実際にヒトに投与すると中和抗体の発現が認められることもあります。

【副作用】

●重大な副作用
 ・アナフィラキシーショック (頻度不明)
 ・アナフィラキシー様症状 (0.4%)
 ・感染症 :肺炎(7.8%)、帯状疱疹(6.4%)、感染性胃腸炎(3.4%)、蜂巣炎(3.3%)、感染性関節炎(0.9%)、敗血症(0.4%)、まれに非結核性抗酸菌症(0.4%)、結核(0.3%)、ニューモシスチス肺炎(0.1%)等の日和見感染を含む重篤な感染症があらわれ、致命的な経過をたどることがある。
 ・間質性肺炎 (頻度不明)
 ・腸管穿孔 (頻度不明)
 ・好中球数減少 (7.0%)  ・心不全 (頻度不明))
 *2008年4月16日~2009年3月15日に関節リウマチで収集された死亡症例28例のうち、厚生労働省への報告対象症例(関連性が不明、調査中の症例を含む)は15例であり、本剤との因果関係が否定された死亡症例は13例でした。死亡症例の多くは病状が長期に亘り、合併疾患を有し、全身状態が不良な症例でした。
 ☆詳細につきましては薬剤科医薬情報管理室までお問い合わせください。

●その他の副作用

キャッスルマン病の承認時までの調査35例、関節リウマチ、多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎、全身型若年性特発性関節炎の効能追加時までの調査各々601例、19例、128例、計783例において副作用は751例(95.9%)に認められています。主な副作用は、鼻咽頭炎421件(53.8%)、コレステロール増加292件(37.3%)、LDL増加148件(18.9%)、トリグリセリド増加126件(16.1%)、ALT(GPT)上昇119件(15.2%)等です。

※783例の内訳:キャッスルマン病:35例、関節リウマチ:601例、
 多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎:19例、
 全身型若年性特発性関節炎:128例

【生物学的製剤比較表】
【レミケード】 製品名 【アクテムラ】
インフリキシマブ 一般名 トシリズマブ
キメラ型抗TNFαモノクローナル抗体 分子構造 ヒト化抗IL-6受容体モノクローナル抗体
可溶性TNFαへの結合・中和
受容体に結合したTNFαの解離
TNFα産生細胞の障害
作用機序 可溶性及び膜結合性IL-6レセプターに
結合し、IL-6の生物活性を抑制
TNFα 標的 IL-6
250mLに溶解して点滴静注
2時間
投与経路 100-250mLに溶解して点滴静注
1時間
3mg/kg 用量 8mg/kg
初回、2週、6週、以後8週間隔 用法 4週間隔
必須 MTX併用 併用可
クローン病
ベーチェット病による
 難治性網膜ぶどう膜炎
RA以外の
適応症
キャッスルマン病
若年性特発性関節炎
(参考:製剤添付文書
ご質問・お問合せは、当院 薬剤科医薬情報管理室までお寄せください

2009年02月 『日本版ビアーズ基準』

国には、高齢者の薬剤処方の在り方に一定の方向性を示す基準「Beers Criteria」というものがあります。Mark Beers博士が中心となって1991年に初めて発表されました。内容は、「高齢者に不適切な医薬品」のリストがまとめられており、そのリストアップにはデルファイ法によるコンセンサスとリッカートスケール法と呼ばれる点数評価を用いた独創的な方法がとられました。このような背景の下、国立保健医療科学院の今井博久疫学部長ら研究チームは、日本の医療制度や事情に合わせた「日本版ビアーズ基準」というものを昨年4月に発表されましたので、ここに紹介します。その内容や方法論の是非はともかく、当ニュースで日本版ビアーズ基準の一部を紹介するにあたって注意点を一つ述べておきたいと思います。それは、当該基準には法的拘束力は無く、掲載された医薬品は使用禁止というものでも無いという事です。

高齢者

65歳以上の方。多種類の薬剤を服用される事が多く、肝・腎機能も低下している事の多い高齢者は、潜在的にも薬剤による不利益(有害事象)を被り易いと言えます。

選定基準と薬剤リストの一部

(1) 高齢者において疾患・病態によらず一般に使用を避ける事が望ましい薬剤/薬剤クラス(約70種類の薬剤)

薬剤(代表的な商品名) 問題点
フルラゼパム(インスミン・ベノジール・ダルメート)
フルニトラゼパム(サイレース・ロヒプノール)
長時間にわたり鎮静作用を示す為、転倒・骨折の頻度が高くなる。中~短期作用型ベンゾジアゼピン(BZ)系薬が望ましい
一日あたり用量が以下に示す値を超える場合
ロラゼパム(ワイパックス)3mg、
アルプラゾラム(コンスタン・ソラナックス) 2mg、
トリアゾラム(ハルシオン)0.25mg、エチゾラム(デパス)3mg
一日あたり用量が一定量を越えない事が望ましく、BZ系薬に対する感受性が高くなっているので低用量でも有効性が得られる
インドメタシン(インダシン・インテバン) Nsaidの中でCNS副作用が最も多い
ペンタゾシン(ソセゴン・ペンタジン) 他の同種薬剤に比して錯乱・幻覚等のCNS副作用の頻度が高い
アミトリプチリン(トリプタノール) 抗コリン・鎮静作用が強い
ジソピラミド(リスモダン・ノルペース) 他の抗不整脈薬の中で最も強力な陰性変力作用を有するため、心不全を誘発するおそれがある。抗コリン作用も強い
ニフェジピン短期作用型 低血圧・便秘を引き起し易い
シメチジン(タガメット) 錯乱等CNS副作用を引き起こすおそれがある
H2ブロッカー せん妄をきたすおそれがある
スルピリド(ドグマチ-ル) 錐体外路症状をきたすおそれあり。軽症うつ病に対しては、より安全な代替薬の使用が望ましい
チクロピジン(パナルジン) アスピリンと同程度の抗凝血作用だが、毒性ははるかに高いと考えられるのでより安全な代替薬を使用するのが望ましい
(2) 高齢者において特定の疾患・病態がある場合に使用を避ける事が望ましい薬剤/薬剤クラス(25種類の病気別に)
疾患・病態 薬剤(代表的な商品名) 問題点
糖尿病 クエチアピン(セロクエル) 血糖上昇作用を持つため
認知障害 バルビツール酸系薬、抗コリン薬、鎮痙薬、筋弛緩薬、CNS刺激薬 CNS変調作用のため
認知症 BZ系薬 認知機能を低下させる
うつ病 BZ系薬の長期使用、交感神経遮断薬[メチルドパ・レセルピン] うつ病を引き起す、又はうつ病を悪化させるおそれがある
心不全 ジソピラミド(リスモダン・ノルペース)、高Na含有薬 陰性変力作用・体液貯留・心不全の悪化のおそれ
不整脈 三環系抗うつ薬 不整脈誘発作用やQT間隔の変化を引き起す
COPD 長期作用型BZ系薬[クロルジアゼポキシド・ジアゼパム・クアゼパム・クロラゼプ酸]、β-ブロッカー[プロプラノロール] CNS副作用を生じ、呼吸抑制を起こす、又は悪化させるおそれがある
(参考:国立保健医療科学院  疫学部 薬事新報No.2654(2009)今井博久「薬剤師に活用してほしい日本版ビアーズ基準について」
ご質問・お問合せは、当院 薬剤科医薬情報管理室までお寄せください

2009年01月 『当院採用のインスリン製剤の比較』

作用動態(イメージ)と作用発現時間と持続時間 混合比率
(%)
注射の
タイミング
インスリンアナログ 超速効型 <特徴>
製剤中でリスプロは六量体で存在しているが、皮下投与後速やかに単量体へ解離し、血管内への移行が速くなり、食直前投与が可能になった。
インスリン
リスプロ
100%
食事の
直前
ヒト型インスリン 速効型 速効型
インスリン
100%
食事
30分前
混合型 速効型
30%
中間型
70%
食事
30分前
中間型 中間型
100%
食事
30分前
インスリン グラルギン 持効型 <特徴>
皮下投与後に生理的pHで等電点沈殿を起こし、徐々に溶解、吸収される。血糖降下作用のプロファイルは、明らかなピークを示さない。生理的な基礎インスリン分泌パターンを再現する。
持効型
インスリン
100%
朝食前
または
就寝前
(一定
時間に)
<各製剤添付文書、及び各社製剤情報より抜粋>
ご質問・お問合せは、当院 薬剤科医薬情報管理室までお寄せください

2008年12月 『ドライパウダー吸入薬アドエア®』

2007年4月に本邦初で承認を受けた、抗炎症薬である吸入ステロイド薬と気管支拡張作用を有する長時間作用性β2刺激薬の配合剤である。

続性喘息患者の長期管理薬の第一選択薬として、優れた抗炎症作用を有する吸入ステロイド薬の重要性が広く認知されている。また、重症度が軽症持続型以上で、治療不十分な症例には吸入ステロイド薬に加えてほかの治療薬の併用が推奨されている。その併用薬として最も望ましい相手の1つと目されているのが、気管支拡張作用を有する長時間作用性β2刺激薬である。アドエア®に配合されている吸入ステロイド薬(フルタイド®)と長時間作用性β2刺激薬(セレベント®)の両薬剤は各々単剤でも優れた薬理作用を有するが、併用薬としてもそれぞれを相補する作用や相乗作用を有していることが特徴である。

薬理作用

≪吸入ステロイド薬≫
吸入されたステロイドは下気道の粘膜に付着後、炎症細胞の産生や気道の浸潤に関するサイトカ イン、ケモカイン、増殖因子の発現を抑制したり、浸潤した炎症細胞のアポトーシスを惹起したりして強力な抗炎症作用を示す。そのほかβ2受容体の過発現に関与し、また、β2刺激薬投与によるβ2受容体の脱感作およびその作用の減弱をステロイドが抑制されていることが知られている。
≪長時間作用性β2刺激薬≫
ステロイドにはない気道平滑筋収縮に対する拮抗作用をはじめ、知覚神経の興奮抑制、微小血管透過性の抑制、マスト細胞の膜安定化などがあり、喘息の治療においてステロイドの抗炎症作用を補完している。

有効性
吸入ステロイド薬低用量単剤ではコントロール不良だった喘息症例を対象にして行った検討では、ステロイド用量を増加した群に比して、ステロイド投与量は変えずに長時間作用性β2刺激薬を併用した群の方が優位に呼吸機能や症状の改善を認めた。吸入ステロイド薬への併用薬としてはβ2刺激薬のほかにロイコトリエン受容体拮抗薬や徐放性テオフィリン製剤があるが、効果はβ2刺激薬が優れているとされ、なかでも呼吸機能の改善度に関しては最も優れている薬剤と位置づけされている。
副作用
配合剤であるがゆえに、各々の副作用を併せもっている。以下は代表的のもの。
1.嗄声 … 吸入手技の未習熟や吸入速度の不足により、ステロイドが咽・喉頭に付着するため
2.口腔・咽頭カンジダ症 … ステロイドには易感染性があるため、含嗽の励行を要する
3.胃腸障害 … 内服薬における頻度と比べるとかなり低い
※ 高用量を長期間使用する患者では副腎機能障害や低K血症を呈することがあり、早期発見のため定期的に血液検査を施行する。
注意・留意点
アドエアはβ2刺激薬50μgに対してステロイドの用量が100、250、500μgでフルタイド®の100、200μgと若干異なっている。切り替えの際には、喘息のコントロールにもよるが、元のフルタイド®の用量よりもやや多めに設定することが推奨されている。
エアロゾルからの切り替えでは十分な吸入速度が得られない患者も存在するため、吸入手技の指導が重要である。
短時間作用性β2刺激薬とは異なり、生じてしまった発作を軽減する薬剤ではない。長時間作用性β2刺激薬と同様に不整脈や心停止を惹起する恐れがあり、治療薬の意味付け、長期管理薬、レスキュードラッグでない、旨を指導する必要がある。
<引用文献> 日本病院薬剤師会雑誌 第44巻5号 2008年 P.813~817
ご質問・お問合せは、当院 薬剤科医薬情報管理室までお寄せください

2008年11月 『タミフルの耐性について』

が国では2001年にインフルエンザ治療薬としてタミフルが販売認可を受けて以来、タミフルの臨床での使用量は全世界の生産量の70%以上を占め、世界第一位の使用量となっている。使用量の増加に伴い耐性株の出現が懸念される中、わが国ではWHOと協力して2003年4月インフルエンザシーズンから耐性株サーベイランスを行ってきた。この結果、2003年4月~2006年7月インフルエンザシーズンまでの国内(および海外)の耐性株の発生頻度は1%以下であり低頻度であると考えられてきた。

ころが、2007年11月以降から、A/H1N1ウイルスNA蛋白質にH275Y耐性マーカーを持つタミフル耐性株が、ノルウエーの67%を筆頭にEU諸国全体でも20%以上の頻度で検出されるようになった。これらの耐性株はタミフルを服用していない患者から分離されており、自然発生的な耐性変異株と考えられる。これまで、タミフル耐性株はヒトからヒトへの感染効率が低いといわれてきたが、現在EU諸国で流行している耐性株は通常の市中流行株と同様の感染効率を持つことが分かっている。複数の国にまたがって、これほど高頻度にタミフル耐性株が分離された例はこれまでになく、タミフル耐性株の世界的な拡大が懸念されている。

が国は、世界一のタミフル使用国であることから、世界中がわが国の耐性株の発生動向について注目している。また国内の耐性株発生状況によっては、タミフルを処方する治療方針の見直しなどの検討も必要となることから国立感染症研究所(感染研)では2008年以降に検体採取されたA/H1N1インフルエンザウイルス分離株を中心に、H275Y耐性マーカーをもつタミフル耐性株の緊急サーベイランスを実施した。2008年4月1日までに感染研が受領したデータを集計した中間報告では総解析数1,360株中22株の耐性株が同定され、国内の耐性株の発生頻度は1.6%であった。発生頻度を年別に見ると、2007年は277株中1株(0.4%)、2008年は1,083株中21株(1.9%)で、2008年に入ってからの頻度が高い。しかし、これらの発生頻度は欧米や香港などの諸外国に比べて著しく低く、これまでの国内での頻度と比べても特別に高いとはいえなかった。一方、地域別では、本州を中心に全国的に耐性株が散見され、横浜市、鳥取県、栃木県、岐阜市で複数の耐性株が同定された。

2008年10月におこなわれた第56回日本ウイルス学会学術集会での感染研の発表では2007年11月~2008年7月までに分離されたA/H1N1の1714株を解析し、全体では44/1714 (2.6%)の耐性株が分離され、鳥取県では22/68(32%)と高頻度だった。日本ではEU諸国のような深刻な状況には至っていないが、今後も継続した監視が必要である。

<引用文献> 国立感染症研究症IASRより一部改変
ご質問・お問合せは、当院 薬剤科医薬情報管理室までお寄せください

2008年10月 『抜歯時の抗血栓療法』
       ~抗血小板薬, 抗凝固薬の休薬は, 本当に必要か~

抜歯時や歯周手術時に, 抗血小板薬(アスピリン等)や抗凝固薬(ワルファリン)による抗血栓療法を中断すると, 頻度は低いものの血栓塞栓症の再発リスクが大きくなることが指摘されています。最近の研究で, ほとんどの抜歯例では, 医師と歯科医の連携のもとに, 抗血栓療法継続下の抜歯が可能であること, 適切な局所止血処置が重要であること, 等が次第に明らかとなってきました。

【抗血栓療法継続下の抜歯-その根拠】

抜歯時の休薬にともなう血栓塞栓症の頻度は1~4.2%程度と高くはないものの, 発症例は重篤な場合が少なくないことから, 欧米では抜歯に際しては基本的に休薬してはならないとする考え方が主流になっているという。例えば, Aframianらによるメタ解析によると, ワルファリン服用例でINRが治療域にあれば, 1本の単純抜歯では休薬してはならないこと, トラネキサム酸液による洗口が有効であること, 歯科処置のために低用量アスピリン(100mg/日以下)を中止してはならないことが, ハイレベルのエビデンスで示されている。

【日本国内での抜歯の検討例】

Morimoto Y et al: J Oral Maxillofac Surg 66: 51-57, 2008より

①森本氏らは[表1]に示すように, 血栓療法中の270例において計306回の抜歯を行ったところ, 後出血は11回(3.6%)みられたこと, 後出血の出現頻度は[ワルファリン単独群(表中A)]と[ワルファリン+抗血小板薬併用群(表中B)]との間に有意差はみられなかったこと, INR値よりむしろ抜歯部位の歯槽膿瘍や歯肉膿瘍などの活動性炎症が影響すると考えられること等報告している。局所止血処置は全例に酸化セルロース綿を入れて縫合し, ガーゼで圧迫する方法を施し, 必要であれば電気メスによる凝固止血や止血シーネで対処されている。日本人のワルファリン服用例(INR3.0未満), 抗血小板薬服用例では, 維持量を継続して抜歯を行っても止血はほぼ可能であると述べている。

②慶応大学病院歯科口腔外科の矢郷氏らの調査では, ワルファリン単独58例, 抗血小板薬単独27例, 両者併用23例で抜歯を行ったところ, 後出血が見られたのはワルファリン服用の2例のみで, 止血シーネで容易に止血できたという。止血処置は, ワルファリン服用例では[ゼラチンスポンジ+縫合+圧迫]を, 抗血小板薬の場合は[縫合+圧迫止血]を組み合わせている。INR 1.6~2.8の治療域の範囲では確実な止血処置を行えば, 抜歯時の止血に問題はなかったとしている。

【今後の取り組み】

すでに循環器学会のガイドライン(2004年)では, 抜歯時の抗血栓療法継続の必要性が記載されています。今後, 医師と歯科医の共通のガイドラインが作成され, 医師と歯科医の連携がさらに強化されることで, 安全な抗血栓療法継続下の抜歯が, 広く普及されることが期待されます。

<参考文献> 矢郷 香, 森本佳成, 矢坂正弘: 抜歯, 歯周手術時の抗血栓療法.
Medical Tribune 2008年3月6日号: 74-75. [提供 エーザイ(株)/バイエル薬品(株)]
ご質問・お問合せは、当院 薬剤科医薬情報管理室までお寄せください

2008年9月 『チャンピックス(バレニクリン酒石酸塩)』

新しい作用機序に基づく、日本で始めてのニコチンを含まない経口禁煙補助剤

バコを吸うことで、タバコの中のニコチンが脳の神経細胞にあるニコチン受容体に結合します。そのことで神経細胞の端末よりドパミンが放出され満足感などの快感が得られます。

ャンピックスはニコチン受容体の部分作動薬であり、2つの作用が禁煙効果を高めます。

チャンピックスを内服することで、タバコを吸ってもニコチンが脳の神経細胞にあるニコチン受容体に結合するのを妨げ、喫煙による満足感を抑制します(拮抗作用)。
⇒禁煙中にタバコを吸ってしまっても美味くない

チャンピックスがニコチン受容体に結合することで少量のドパミンが放出され、禁煙に伴う離脱症状やタバコに対する切望感が軽減します(作動薬作用)。
⇒禁煙のイライラが減る

コチネルは適量のニコチンを補うことでニコチン切れによる離脱症状をやわらげるお薬です。タバコの代わりにニコチン血中濃度を上げ、徐々にニコチン濃度を低くすることにより禁煙します。禁煙中にタバコを吸ってしまうとニコチンの過剰投与と同じ状況に陥るため危険なことや、喫煙による満足感が復活してしまいます。

【服用法】

1週目:禁煙開始日の1週間前よりチャンピックスを内服開始します。
  1日目~3日目  チャンピックス0.5mg 1日1回
  4日目~7日目  チャンピックス0.5mg 1日2回、朝夕食後
2週目:8日目に禁煙を開始します。チャンピックス1mg 1日2回、朝夕食後
 12週目までこれを継続して内服します。禁煙に成功した場合、禁煙を確実にするため、24週まで延長することができます。   新薬のため2009年4月までは4週間処方ができず、通常の5回受診ではなく7回の受診が必要となります。
(参考/ニコチネル:薬剤処方期間 8週間分  通院回数 約5回)

【副作用】主に、吐き気(28.5%)、頭痛、便秘

(吐き気は、飲み始め1~2週間のみで自然に消失することが多い。ひどければ吐き気止めを内服。服用法が食後となっているのは副作用の吐き気の発現を抑えるためで、薬物動態に対する食事の影響はない。ニコチンパッチやニコチンガムとの併用は、吐き気等の副作用が多く認められたとの報告あるため避けること。)

【使用上の注意】

うつ病や統合失調症など精神疾患のある方には十分観察して投与すること。(参考/ニコチネルは虚血性心疾患(心筋梗塞・狭心症)の方にはX)

    院の禁煙外来のように時間をかけて問診や説明を行い禁煙成功率の高い状況であれば、費用も高い
    チャンピックスは必要ないのかもしれませんが、過去にニコチネルで禁煙に失敗している方や肌のかぶれ
    などでニコチネルを継続できなかった方は、チャンピックスとい選択肢もあるのではないでしょうか。
参考:http://www.pfizer.co.jp/pfizer/index.html
ご質問・お問合せは、当院 薬剤科医薬情報管理室までお寄せください

2008年8月 『注射用フサン(メシル酸ナファモスタット)の配合変化について』

【概要】

注射用フサン(メシル酸ナファモスタット)は非ペプタイド性蛋白分解酵素阻害薬である。血液凝固・線溶系、カリクレイン-キニン系及び膵酵素に対する強力な阻害作用や抗血小板作用を有しており、急性膵炎、汎発生血管内血液凝固症(DIC)、出血性病変又は出血傾向を有する患者の血液体外循環時の灌流血液の凝固阻止の適応が承認されている。

【配合変化の種類】
【①混濁・沈殿】

フサンの成分であるナファモスタットはメシル酸とイオン結合しているが、メシル酸は塩交換しやすい性質を持っており、メシル酸に代わって他の陰イオンが結合した時に生成された溶解度の低い物質が、混濁・沈殿の原因である。たとえば、フサンを直接生理食塩液で溶解すると、生理食塩液中の塩素イオンとフサンの中のナファモスタットが結合し塩酸ナファモスタットが生成される。これは、メシル酸ナファモスタットに比べて溶解度が低いために混濁・沈殿が生じるというわけである。
ただし、予め注射用水や5%ブドウ糖で溶解すれば、ナファモスタットは希釈された状態で陰イオンと出会うため、混濁・沈殿を防ぐことができる。

【②力価低下】

ナファモスタットは、構造式中にエステル結合を持っており、pH8以上になると加水分解(力価低下)が進行する。ネオフィリン注・ホスミシン注・メロペン注等のアルカリ性薬剤との配合は禁忌である。しかし力価低下は経時的に進行するため、薬剤の接触時間が短い場合には問題とならない。したがって、輸液内に混合すると力価低下する組み合わせではあっても、同一ルートからの併流は可能である。

【③その他】

注射薬には、薬剤の酸化を防止し製剤の安定性を図る目的で、亜硫酸水素Na・ピロ亜硫酸Na等の亜硫酸塩が添加されている場合がある。しかし一方で、亜硫酸塩は配合薬の分解を促進する作用があり、この作用は亜硫酸塩の量が多いほど、またpHが高いほど顕著となる。
亜硫酸水素Na・ピロ亜硫酸Naが添加されている薬剤として、アミノ酸製剤、ダブルバック方式を採用しているPPN・TPN製(アミノ酸部分)、カテコールアミン(イノバン・ドブトレックス等)、ビタミンC、アミノグリコシド系抗生物質(ハベカシン・アミカシン等)、ステロイドホルモン剤(デカドロン・サクシゾン等)その他、アドナ、プリンペラン、ラジカット、強力ネオミノファーゲンC等がある。これらの薬剤とフサンを混合する場合は、注意が必要である。

最後に、注射用フサンは配合変化を起こしやすい薬剤であり、またフサンの濃度が高いほど起こりやすいため、高濃度で使用(DIC等)する場合には特に注意が必要である。

参考文献:月間薬事6月号  配合変化に注意 第5回 櫻井美由紀
ご質問・お問合せは、当院 薬剤科医薬情報管理室までお寄せください

2008年7月 『ヒト化モノクローナル抗体 アバスチン注(ベバシズマブ)』

アバスチンは、世界初のヒトの血管内皮増殖因子(VEGF)に対するヒト化モノクローナル抗体である。2007年6月に発売され、当院でも患者限定で採用されている。

VEGFは、血管内皮細胞の細胞分裂を促進したり、血管透過性の亢進に関与するサイトカインで、正常な血管新生にも不可欠な調節因子であるが、一方で、種々の癌細胞でも発現亢進が認められている。癌細胞内では、VEGFが血管新生を促すことで栄養や酸素の供給を高め、癌細胞の増殖や転移に関与していると考えられている。

アバスチンは、VEGFと選択的に結合することにより、その生物活性を阻害することで抗癌作用を示す薬剤であり、この作用から「血管新生阻害剤」とされている。また、脈間構造を正常化、血管透過性を低下させ、腫瘍組織で亢進した間質圧を低減する。

【効能・効果】

治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌

【用法】

フッ化ピリミジン系薬剤を含む他の抗癌剤との併用により投与すること
(FOLFOX療法、IFL療法、5-FU/LV療法)

【一次治療における有用性(海外臨床試験)】
投与群 PFS中央値 生存期間中央値
FOLFOX4+プラセボ群 8.57
FOLFOX4+アバスチン群 9.40
IFL+プラセボ群 6.28 15.80
IFL+アバスチン群 10.58 20.37
5-FU/LV+プラセボ群 5.52 13.24
5-FU/LV+アバスチン群 9.17 16.56
PFS(無増悪生存期間)(単位:月)
【多くみられる副作用】

 ① 高血圧  約20~40%(化学療法だけの場合:約5~8%)
 ② 蛋白尿  約10~40%(化学療法だけの場合:約5~20%)
 ③ 粘膜出血  約20~50%
 ④ 白血球・好中球数減少  中等度以上の減少:37%(化学療法だけの場合:約30%)

【アバスチンに特徴的である重篤な副作用(発現時は投与中止)】

 1. 消化管穿孔
 2. 創傷治癒遅延
 3. 腫瘍関連出血(大腸癌で消化管出血、肺転移巣で肺出血、脳転移巣で脳出血)
 4. 血栓塞栓症(脳梗塞、心筋梗塞、深部静脈血栓症等)
 5. 高血圧脳症、高血圧性クリーゼ
 6. 可逆的後白質脳症症候群(痙攣発作、頭痛、精神状態変化、視覚障害等)
   *治療中、定期的な血液検査、定期的な血圧・尿蛋白の検査が必要である

参考:アバスチンインタビューフォーム、薬剤取り扱い説明書
   http//medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/series/drug/update/200705/503171.html
ご質問・お問合せは、当院 薬剤科医薬情報管理室までお寄せください

2008年6月 『セフトリアキソンナトリウム(商品名:ロセフィン)は
カルシウム含有製剤と一緒に投与してはいけない!』

① セフトリアキソンナトリウム(CTRX)の特徴

 MICからみた抗菌力は、大腸菌、肺炎桿菌、プロテウス・ミラビリス、エンテロバクター、シトロバクター、インドール陽性変形菌、セラチア、インフルエンザ菌等のグラム陽性・陰性菌に対してセファメジンやセフォチアムよりも優れている。適応は無いが緑膿菌等のブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌にもある程度の抗菌力を持つ。

 最近では、淋菌性の尿路感染症において耐性化が進んでいる事もあってセフォジジム、スペクチノマイシンと並んで当薬剤が推奨されている。

 構造式の特徴として、7位にaminothiazole基とmethoxyimino基を持つ事で各種β―ラクタマーゼに極めて安定であり、3位側鎖中にトリアジン環を導入した事で血中持続性が得られた。

 体内動態の特徴としては、本剤1g静注時のβ相での血中半減期は7.5~8時間とセフェム系抗生剤の中で最も長く、成人および小児において1日1回投与が認められている。蛋白結合率は85~95(%)、体内でほとんど代謝を受けず、尿中未変化体排泄率は6時間までに約30%、48時間までに約60%である。胆汁中への移行は良好でセフェム系の中では非常に稀な胆汁排泄型であるので、腎障害時でも投与量の変更を要しない。また、髄液への移行も良好である。

② 2007年6月の米国FDAからの警告要旨
  (日本では同年9月に安全性情報で警告)

 セフトリアキソンとカルシウム含有薬剤(輸液を含む)のとの配合変化により、肺や腎に結晶沈着が認められ、これを原因とする新生児の死亡例が米国で報告された。

 症例の大半は両剤の同時投与により発生しているが、理論的には析出反応は両剤の投与時間差が48時間以内の場合に起こる可能性がある。米国の報告では新生児のみであるが、物理化学的には両剤の相互作用は年齢に関係なく起こる可能性がある。禁忌とされていないが、どちらか一方を投与した時は48時間以上経過してから他方を使うべきである。また、関連性が否定出来ない胆嚢内沈殿物の報告もある。

③ 最近の海外文献情報

 妊娠による体内動態の変化する抗生物質の一つとしてセフトリアキソンがあり、消失速度定数の有意な低下が認められている。

参考文献:月間薬事3月号  配合変化に注意 第2回 阿南節子
ご質問・お問合せは、当院 薬剤科医薬情報管理室までお寄せください

2008年5月 DIニュース 『PK/PDからみた抗菌薬の投与方法』


感染症の治療は速やかに起炎菌を推定し、抗菌薬化学療法を開始する事が感染症の病態からも、PK/PD(薬物動態学/薬力学)理論からも有効性を高める事が知られています(empiric therapy)。PKは薬物の体内での分布を、PDは抗菌薬の病原体に対する効果および生体組織に対する副作用として主に表現されますが、ここではPK/PDパラメーターからみた抗菌薬の投与方法を述べます。
1.濃度依存性抗菌薬
 高い治療効果をあげるには、最高血中濃度Cmaxを高くする必要があり、その為には投与間隔ではなく、投与量で調節する。安全域を逸脱しない範囲でCmax、或いはCmax/MIC比、AUC/MIC比が高くなる方法をとる。同時に、副作用軽減を目的にtrough値を十分低く設定する。例えば、殺菌的でPAE(MIC以下になっても菌の増殖抑制効果が持続する事)を示すアミノグリコシド系薬は、1日1回投与法が欧米で行われるようになっている。
 ・Cmax/ MICをパラメーターとするもの:アミノグリコシド系
 ・AUC/MICをパラメーターとするもの:フルオロキノロン系、アジスロマイシン、リネゾリド
2.時間依存性抗菌薬
 抗菌薬の効果は、MIC以上の薬物濃度に菌が接する時間の長さ(Time above MIC)によって左右されるので、1回投与量を増やすよりも1日の投与回数を増やすのが良い。trough値が低すぎる事は、Time above MICが短い事を意味するので、基準値以下にならないようにする。特に、β-ラクタム系薬ではMIC以上の血中濃度を1日の内で40%以上の時間を保つ必要がある。
 ・Time above MICをパラメーターとするもの:
  マクロライド系、グリコペプチド系、β-ラクタム系(カルバペネム系・セフェム系・ペニシリン系)
参考文献:奈良県病院薬剤師会会誌31号2007.6
ご質問・お問合せは、当院 薬剤科医薬情報管理室までお寄せください


2008年4月 DIニュース 『乳がんの内分泌療法』

乳がん

わが国の乳がん罹患率は欧米に比較して低いとされていたが、生活様式の欧米化なにより罹患率が急増している。近年、比較的早期から全身に微小転移を起こしやすいという『乳がん=全身病』の概念から、薬物療法の重要性が増している。

内分泌療法

かつて、外科的に両側の卵巣を摘出したり、副腎や下垂体を摘出して女性ホルモンの分泌量を減らすことで乳がんの増殖を抑制することが行われた。

しかし現在では薬物療法によって女性ホルモンを抑制することが可能となり、外科的内分泌療法が行われることは皆無になっている。

最も古くからあるホルモン剤は、エストロゲンが腫瘍細胞と結合するのを妨げる働きのタモキシフェンで、閉経前の内分泌療法としては現在でもゴールデンスタンダードである。一方、閉経前と閉経後ではエストロゲン産生経路が異なるが、閉経後はエストロゲン合成酵素であるアロマターゼの働きによって脂肪組織からエストロゲンが産生される。内分泌感受性の閉経後乳がん患者では、アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害剤の有用性が注目されている。



引用:月間薬事Vol.49 N0.2 (P41-46)
ご質問・お問合せは、当院 薬剤科医薬情報管理室までお寄せください


2008年3月 DIニュース 『ブホルミンとメトホルミン』

近年、ビグアナイド系糖尿病薬であるメトホルミンは、複数の大規模臨床試験で安全性と有効性が再評価され、メタボリックシンドロームの発症抑制にも効果が期待できる薬剤として注目されています。当院もブホルミン(ジベトスBⓇ)に加え、メトホルミン(メルビンⓇ)が3ヶ月試用薬品として登録されました。

ーロッパでは中世から、湿地や低地に分布する多年草マメ科植物のフレンチライラックを、多尿や口渇などの糖尿病症状を緩和する作用がある薬草として用いてきた。後にその植物の抽出物であるグアニジンに血糖降下作用があると報告されるが、グアニジンには強い毒性があるため臨床応用されず、関連物質としてビグアナイド系の薬剤が開発され、現在使用できるのはメトホルミン(メルビンⓇ)とブホルミン(ジベトスBⓇ)である。

トホルミンは、グアニジンを二つ並べた骨格を有し2つのメチル基が修飾する。一方ブホルミンではブチル基が修飾する(図)。この側鎖の違いにより、ブホルミンはより脂質親和性が高くミトコンドリア膜に結合しやすく、メトホルミンはより結合しにくい性質を有する。また、ブホルミンは肝臓で代謝され、メトホルミンは腎臓から直接排泄される。

【グアニジン】
【メトホルミン】
【ブホルミン】

の構造式から、乳酸アシドーシスはメトホルミンの方が起こしにくいと考えられる。しかし、メトホルミンは胃腸障害の発現が0.1%~5%未満と高いため、消化器症状を訴える患者にはブホルミンが使用できる可能性がある。 なお、近年示されたメトホルミンの臨床試験の多くは欧米でのデータであり、欧米と国内では投与量が違うこと(欧米;2g以上/日、日本;750mg/日)を考えると、今後国内の臨床試験の結果が期待される。           

参考文献;薬局 2007,Vol.58,No.12 
ご質問・お問合せは、当院 薬剤科医薬情報管理室までお寄せください