腹腔鏡下手術について
腹腔鏡下手術はお腹に小さな傷を開け(ほとんどの施設が4ヶ所以上ですが、当院では3カ所のみ)、おなかの中に炭酸ガスを入れてふくらませて手術します。開腹手術と比較して、より低侵襲かつ、精細な手術を行うことが出来ます。
※当院の手術割合
対象疾患
子宮筋腫 | 子宮筋腫核出術(子宮を温存します) 子宮全摘術(子宮の温存を希望しない患者さんが対象です)多くの場合は腹腔鏡下手術で行っていますが、比較的多数の大きな筋腫に対しては、約4cmの小さな傷で筋腫を核出するミニラパ手術を行うこともあります。 |
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子宮内膜症 | 月経痛、排便痛、性交痛、慢性骨盤痛など強い症状を伴う深部子宮内膜症)に対して、当院では出来る限り病巣の完全切除を目指して手術を行っております。 ・直腸に浸潤した子宮内膜症に対しては、LARS(直腸前壁スライシング手術)を施行し、より完全な症状の改善を目指しております。 (ebook001参照) |
子宮腺筋症 | 子宮腺筋症核出術(子宮の温存が必要な場合の手術です) 子宮全摘術(子宮の温存を希望しない患者さんが対象です) 腹腔鏡下子宮腺筋症核出術の場合小切開が必要となることがあります。 |
卵巣腫瘍 | 正常部分を残して、腫瘍部分のみを摘出したり、卵巣、卵管を切除したりする方法があります。悪性腫瘍が疑われる場合は開腹手術が必要となることがあります。 |
骨盤内癒着 | クラミジア感染による癒着、子宮内膜症により癒着など等をレーザーにて剥離します。 |
卵管水腫 | 卵管開口術を行い、閉塞した卵管の通過性を改善させます。手術後にしばしば自然妊娠に至っています。体外受精のみを予定している場合、卵管を切除することもあります。 |
不妊症 | 不妊原因の検索、治療を行います。 |
子宮外妊娠 | 卵管を切除する方法と卵管を温存し、卵管内の妊娠部分のみ切除する方法があります。 |
帝王切開瘢痕部症候群 | 腹腔鏡と子宮鏡で帝王切開瘢痕部を切除し、再縫合しています。 |
長所(開腹手術と比較して)
- ①腹部の傷が小さい。
- ②手術後の痛みが少ない。
- ③入院期間が短い(全入院期間が4~7日間で済むことが多い)
- ④早く仕事に復帰できる。
- ⑤腹腔内をモニターで拡大して手術が行えるので細かく、繊細な手術が可能。
短所・合併症
- ①直接臓器に触って手術が出来ない。
- ②手術中のトラブルなど、緊急時には開腹手術に変更する必要が生じる場合がある。
入院期間
原則は7日以内であり、ほとんどの患者さんはこの期間で退院できています。
(手術の前日に入院し、手術後2〜5日で退院です)
入院費
- ・手術の種類、入院期間などにより異なりますが、おおよそ50~80 万円で、3割負担であれば15万円から24万円が自己負担となります。(個室使用料は除きます)
- ・直腸子宮内膜症を認め、直腸部分切除術(LARS)を行った場合は3割負担で30万円を超えることがあります。