ヴイノーツ(vNOTES)経腟的腹腔鏡下手術について

ヴイノーツ(Vaginal Natural Orifice Transluminal Endoscopic Surgery)は、膣から腹腔鏡のカメラや鉗子などを挿入し、子宮や卵巣嚢腫などを膣から取り出す経膣的腹腔鏡下手術です。

当院では子宮筋腫や子宮腺筋症など良性疾患の子宮全摘術や骨盤臓器脱の子宮全摘術や膣断端挙上術、付属器切除術などに行っています。

ヴイノーツの手術を行っている時に、完遂が難しいと思われた場合は、途中で腹部からの腹腔鏡下手術や開腹手術に変更することがあります。

当院では2023年末より開始し、2025年2月28日までに100症例を超えるヴイノーツ手術を行ないましたが、そのうち3症例のみが腹部からの腹腔鏡下手術に移行しました。
開腹手術に移行した症例や重篤な合併症を認めた症例などはありません。

この手術は、腹部からの腹腔鏡下手術より難しいため、行なっている施設は、まだ少数です。

対象疾患

  • ・子宮筋腫、子宮腺筋症など良性疾患の子宮全摘術の場合。(現段階での最大子宮重量は、1,709gです。)
    子宮筋腫核出術や帝王切開術など腹部の手術既往がある場合でもできる限りヴイノーツ手術で対応しています。
    ・骨盤臓器脱の子宮全摘術、膣断端挙上術、付属器切除術の場合
    ・卵巣嚢腫の付属器摘出術、囊腫摘出術、茎捻転の手術の場合
  • 今後、さらに大きな子宮の子宮全摘術や子宮外妊娠、卵管水腫の卵管切除術などにも拡大していく予定です。詳しくは、当院の婦人科 谷口医師までご相談ください。

対象でない疾患

  • ・子宮筋腫核出術、子宮腺筋症核出術の場合
    ・深部子宮内膜症の摘出が必要な場合
    ・悪性腫瘍が疑われる場合
    ・妊娠中の場合
    ・未性交など腟腔が狭い場合

長所

  • ①腹部に手術創ができません。
  • ②手術後の疼痛が、腹部からの腹腔鏡下手術より楽です。
  • ③手術時間が短い
  • ④保険適応の手術です。
  • ⑤高額療養費制度があります。

短所

  • ①腹部からの腹腔鏡下手術より難しいです。
  • ②腟壁にわかりにくい手術創ができます。