健康経営
健康経営の目的
近年、一般企業だけでなく医療機関においても、SDGs (Sustainable Development Goals) やESG (Environment, Social, Governance) の視点から見た社会的責任を果たすことが求められています。→ 「当院のSDGsの取組み」 地域社会の健康増進に貢献する当院の活動の主要分野のひとつとして、従業員を対象とした健康経営の推進に取組んでおります。
ますます高度化し複雑化する医療サービスを多くの患者様に質高く提供するためには、提供する我々が医療プロフェッショナルとして心身両面で健康であることも重要です。その為当院では、積極的に組織的な取り組みを行い、健康改善への職員個人を支援し、職場における健康文化を育むことで職員の幸福に貢献します。
当院基本方針における健康経営へのコミットメント
当院では理念・基本方針において、健康経営への積極的なコミットメントを宣言しています。
健康経営推進体制
健康経営をより高いレベルで遂行するため、当院では次のような推進体制のもと日々取組んでいます。
健康経営優良法人
2025年、私たちは再度「健康経営優良法人2025 大規模法人部門(ホワイト500)」に認定されました。健康経営優良法人としては今回で連続7回目の認定となります。 → 「健康経営優良法人認定証」
健康宣言
2025年度には次のような健康宣言を採択し、4領域に重点をおいて環境整備投資、仕組みづくり、PDCAサイクルによる改善施策を基盤にして、従業員の健康増進に主眼を置いて健康経営を推進しています。
健康経営戦略マップ
健康経営を推進するにあたり、組織全体で重点課題を特定して継続的効果的に取組むため、当院では健康経営戦略マップを作成しています。
医療プロフェッショナルとして全職員が心身両面での健康づくりを推進し、安全安心で働きやすい職場のもとで、高度化複雑化する医療サービスを効率よく地域社会に提供することを目指します。

健康経営の推進方針
当院の理念『「真に求められる医療」をめざし地域の皆様に貢献します』を達成するためには、職員が心身ともに健康で安心して働き続けられることが不可欠と考えております。優れた医療人を育成し医療プロフェッショナルとして高度化複雑化する医療サービスを提供しつづけられるよう、職員が健康でいきいきと働ける職場環境の構築をめざし健康経営に取組んでいます。
健康経営の目標と目標の達成状況を確認する指標(KGI)
健康経営の目標 | ・優れた医療人の育成 ・個々の職員の心身の健康保持 |
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目標の達成状況を確認する指標(KGI) | ||
概要 | ・職員健診の受診率、精密検査受診率 ・メンタルヘルス理由での休職率、退職率 ・アブセンティーズム(傷病休職制度の利用日数の全従業員平均) |
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目標値 | ・職員健診受診率、精密検査受診率 100% ・メンタル理由の休職率、退職率 1%以下の維持 ・アブセンティーズム(傷病休職制度利用日数の全従業員平均) 2日以下の維持 |
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目標年度:2030年 |
改善活動
当院では定期的に行っている健康経営に関する調査や、健康診断・ストレスチェックの結果を活用し職員の健康増進施策の検討、効果検証を行っています。
全従業員に対する疾病の発生予防・重症化予防
課題 | 当院は従業員の健診受診率100%を既に達成しています。毎年これを継続しながら精密検査受診率の一層の向上をはかっています。健診結果の放置による症状の増悪(重症化)は個人の健康状態だけの問題ではなく、就業状況やパフォーマンスにも深刻な影響を与え、組織運営にも支障をきたし成長を妨げる重要要因にもなり得ると考えています。2018年からの取組み成果が徐々に出ており、より工夫をして継続的に取組んでいるところです。 | |
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目標と結果 | 目標:90.0% | 結果:88.9% |
施策実施結果 | 取組みにより精密検査受診率は 84.1% → 88.9% となり昨年よりもさらに改善できました。 | |
効果検証 | 保健師からの声掛け重視の受診勧奨、就業時間内に受診が出来るよう人間ドックセンターに要精密検査対象者専用の受診環境を設定、定期健診とは別に要精密検査対象者用の検査・診察実施日を設定といった取組みにより、目標の90%を超えることはできませんでしたが、昨年よりさらに改善できました。今年度より目標を2030年までに100%に変更し取組みの継続によりさらなる改善を目指します。 |
定期健康診断受診率![]() |
精密検査受診率![]() |
メンタルヘルス不調等のストレス関連疾患の発生予防・早期発見・対応
課題 | 高度化複雑化する医療サービスを提供することで地域医療に貢献する当院の理念を実現するには、豊富な知識や経験を持つ従業員は組織にとって貴重な資産であると考えています。特に医療安全を確保するためには不可欠です。しかしながら業務負荷の増加や近年のコロナ禍対応がメンタルヘルスを起因とした長期休職者・退職者の増加につながっている状況があると捉えています。この傾向に歯止めをかけ減少に持って行くことが喫緊の課題であると考えています。 | |
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目標と結果 | 目標:メンタル理由の退職率 0 % | 結果:0.3% |
施策実施結果 | 2021年度、大幅な減少を達成したため、2024年度は減少状態の維持を目指し、さらにメンタル理由の退職率 0 % を目標としました。結果として、 ・メンタル休職率:2020年 2.0% → 2021年 0.9% → 2022年 0.7% → 2023年 1.2% → 2024年 0.9% ・メンタル退職率:2020年 1.4% → 2021年 0.2% → 2022年 0.7% → 2023年 0.7% → 2024年 0.3% の結果となり、休職率、退職率ともに低減できました。 |
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効果検証 | ストレスチェックの実施だけでは、不調者の早期対応には不十分であると判断し、「心の健康づくりチェックシート」を作成し、各所属長が定期的に職員の不調のチェックを行い、速やかに保健師・産業医へとつなぐ仕組みを構築しました。また院内担当・院外担当による相談窓口を設置し院内各所に掲示し周知しました。さらにドックセンターに、部署から離れ産業医と安心して相談できる環境を整備しました。これら取組みの成果があったと考えています。今年度より目標をメンタル理由の休職率、退職率の1%以下維持に変更し継続して取組んでいきます。 |
メンタル理由の休職率![]() |
メンタル理由の退職率![]() |
アブセンティーイズム・プレゼンティーイズム・ワークエンゲージメント

※WHO-HPQ 絶対的プレゼンティーイズム
WHO-HPQ(世界保健機関 健康と労働パフォーマンスに関する質問紙)における絶対的プレゼンティーイズムのスコアは、0から100の範囲で示され、100点満点として扱われます。
質問項目:「0から10までの尺度で、過去4週間(28日間)のあなたの総合的な仕事の出来をどのように評価しますか?(0があなたの仕事において誰でも達成できるような最悪のパフォーマンス、10が最も優れた勤務者のパフォーマンス)」
計算方法:絶対的プレゼンティーイズム = 質問回答の平均 × 10
その他の指標
当院では他にも下記の指標を重視し定期的にモニタリングを行うことで、従業員の健康増進の施策立案に役立てています。
喫煙率![]() |
疾病を理由とした長期休職者の割合![]() |
傷病休暇制度利用日数の従業員平均![]() |
特定保健指導実施率![]() |
特定保健指導以外の保健指導実施率![]() |
ストレスチェック受検率![]() |
高ストレス者比率![]() |
平均勤続年数![]() |
離職率![]() |
有給休暇取得率![]() |
月平均残業時間![]() |
運動習慣者率 1週間に2回、1回当たり30分以上の運動を実施している人の割合 ![]() |
メタボリック率![]() |
2024年度より「飲酒習慣者率」→「飲酒リスク者率」に指標変更![]() |
血圧リスク者比率 収縮期血圧 180 mmHg以上または拡張期血圧 110 mmHg以上で未治療の人の割合 ![]() |
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※飲酒リスク者率 ・「お酒を飲む頻度はどのくらいですか」 ・「飲酒日の1日当たりの飲酒量」 という問いに下記の「生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している者」に該当する回答をした者の比率 ![]() |
血糖リスク者率 空腹時血糖が200mg/dl以上の人の割合 ![]() |
糖尿病管理不良者率 HbA1cが8.0%以上の人の割合 ![]() |
インフルエンザワクチン接種数![]() |
インフルエンザ罹患率![]() |
健康経営に関する各種研修参加率(一部)![]() |
労働安全衛生にかかる指標![]() |
今後もPDCAサイクルを活用しながら、課題を設定し、目標をしっかりと定め、取組みを着実におこなうことで、健康増進に向けて成果を上げて参ります。
衛生委員会
毎月1回定例にて年12回開催
2024年度の活動目標
1.職員健診の受診率100%
2.予防接種の受診率向上
3.禁煙の取組み強化(職員の業務時間内の喫煙ゼロ)
4.産業医巡視を実施し、労働環境の改善に努める
2024年度の主な活動内容
1.職員健診の受診勧奨の取組み実施(電話、電子メールの活用、各部署長との連携)
2.インフルエンザワクチン、麻疹風疹、HBワクチン、コロナワクチン希望者実施
3.敷地内禁煙、近隣のゴミ清掃実施、ポスター等による啓蒙活動
4.生活習慣病のリスクがある職員に対し保健指導を実施
健康経営施策に対する主な投資額
1.職員健診等:¥11,000,000
2.ワクチン接種費等補助:¥1,867,250
3.感染症検査費等補助:¥101,768
4.健康関連アプリ等費用補助:¥531,000
5.その他:¥396,000
健康経営に関しての情報発信
健康に資する情報について「イベント・健康情報」のページにて発信しております。ぜひご参照ください。
各種情報誌での情報発信
ティーペック株式会社さんの情報誌 Cept に当院の取組みが掲載されました。詳細PDFはこちら
総合メディカル株式会社さんの情報誌 Hint に当院の取組みが掲載されました。詳細PDFはこちら
パートナーシップ構築宣言
当院はサプライチェーンの取引先の皆様や価値創造を図る事業者の皆様との連携・共存共栄を進めることで、新たなパートナーシップを構築するためにリンクの「パートナーシップ構築宣言」を宣言しています。
その宣言の中で、
1. サプライチェーン全体の共存共栄と規模・系列等を超えた新たな連携
直接の取引先を通じてその先の取引先に働きかける(「Tier N」から「Tier N+1」へ)ことにより、サプライチェーン全体での付加価値向上に取り組むとともに、既存の取引関係や企業規模等を超えた連携により、取引先との共存共栄の構築を目指します。その際、災害時等の事業継続や働き方改革の観点から、取引先のテレワーク導入やBCP(事業継続計画)策定の助言等の支援も進めます。
(個別項目)
a. 地域医療への積極的な役割参加地域における医療福祉施設、行政機関などのステークホルダーと密接な連携を図り、積極的な役割を担うことで、より充実した地域医療の構築を目指します。 b. 健康経営の支援
グループ内の健康経営を実践し、産業医派遣や健診事業を通じて、地域および取引先への健康経営の周知・啓蒙を行います。
として地域の健康増進、健康経営推進に向けた宣言についても行っております。
